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2005年03月02日

弥生

弥生といえば陰暦3月のことですが、私は「鏡獅子」の小姓弥生を思いだします。弥生が大奥で鏡開きの余興で踊るうちに、名匠の魂こもる獅子頭を持つと獅子の精がのりうつり、引かれるように花道に引っ込みます。後半は二人の胡蝶の踊りから始まり大薩摩があって、いよいよ後シテの獅子の精が登場します。獅子の狂いがあり、胡蝶と戯れ遊び、段切れ二畳台の獅子の座について幕になります。

綺麗な女性と荒々しい獅子を同じ俳優が踊るところにこの舞踊の人気があります。六代目尾上菊五郎の「鏡獅子」を観たジャン・コクトーは大変感動して「美女と野獣」の映画を作ったことは有名な話です。

本名題を「春興鏡獅子」という長唄の舞踊劇です。明治26年(1893)3月、歌舞伎座で初演されました。作詞は福地桜痴、作曲は3世杵屋正治郎、振付けは9世團十郎と2世藤間勘右衛門によるもので、9世團十郎初演です。高尚好みの九代目が「枕獅子」の廓趣味を排除して、傾城を大奥のお小姓に変えて品良く改作しました。

投稿者 佐千菊 : 2005年03月02日 23:04

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