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2005年08月07日

「NINAGAWA十二夜」その4≪雑感≫

雑感①
新作なのに緞帳を使わず、定式幕で通したこと。歌舞伎舞踊も普通緞帳を使っているのに、あえて定式幕を使った。この事は元歌舞伎を意識してのことでしょうか。
雑感②
「本朝廿四孝」とのダブリ。織笛姫は八重垣姫と同じ赤姫、主膳之助は勝頼の衣装。歌舞伎では偽の勝頼に濡衣が恋し、花作り簑作という本物の勝頼に恋する八重垣姫。ちょっと類似しています。
雑感③
序幕第7場 織笛姫邸長廊下の場  左大臣は織笛姫に恋し、その左大臣に心を寄せる獅子丸、そして今織笛姫が自分に恋心を抱いていることを知って、獅子丸は思い悩みながら花道を引っ込むところに
下座から独吟が聞こえてきます。「月にむら雲、花に風」長唄「一人椀久」の鼓唄の一節です。椀久が松山を思い、やるせない切ない胸のモヤモヤをあらわした唄です。これが獅子丸の悩みとうまく合っていて
印象的な引っ込みでした。
雑感④
血筋。左大臣役の信二郎、往年の萬屋錦之助に似ていました。叔父甥の仲ですから似ていて当然かも知れませんが、とてもステキでした。
権十郎のセリフを聞いた時、羽左衛門が舞台にいる錯覚になりました。セリフの言いまわしがそっくりでした。

投稿者 佐千菊 : 2005年08月07日 02:12

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コメント

ようやく、ゆっくりさちぎくさんの感想を読むことができました。
下座の「月に群雲」のことなんかは、私では全然気がつけないところです。
さすがさちぎくさん!

私は羽左衛門さんの舞台は 実際にみたのは、晩年のものばかり。若い頃のお姿は古本屋でみつける古い「歌舞伎界」なんかでよく眼にすることはあるのですが、今回のさちぎくさんの感想を読んで、「若い頃の羽左衛門さんは今の権十郎さんみたいだったのか」と 逆の発想をしてしまいました。

信二郎さんは舞台を見たときは他のご贔屓さんに気をとられて、あまり印象に残らなかったのですが(すみません)、舞台写真は、影のある、かっこいいお写真が多かったです。
今回の信二郎さん、あちこちで評判いいですね。
もっとちゃんと見とけばよかった~。

投稿者 HineMosNotari : 2005年08月11日 13:06

HineMosさん、感想ありがとうございます。長唄をちょっとかじっていると、下座がよく分かって楽しいものです。なるべく皆さんにもお伝えして興味を持って頂ければ幸いです。顔は見えませんが、黒御簾で唄っている方、良い声でその場にピッタリとあった時など、拍手したくなります。

投稿者 佐千菊 [TypeKey Profile Page] : 2005年08月12日 00:13

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