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2005年06月10日

寂聴源氏

博多座昼の部は海老蔵の源氏です。光源氏役も彼以外考えられない。本を読んでも頭に描くのは海老蔵の面影です。瀬戸内寂聴が源氏に魅せられて、そして等身大の海老蔵に脚本を書いて今回は一番「源氏物語」のテーマを浮き彫りにでき成功したと思います。真っ暗な舞台、紗のカーテン越しに後ろ向きの光の君に照明がスポットであたり、「成田屋!」「十一代目!」と大向こうがゆっくり掛かりました。そして再び暗転、花道から命婦の灯りに誘導されて源氏が出てきます。渡殿なのでしょうか、舞台には藤壺が伏せっていてそーっと忍びいります。驚く藤壺に光の君は胸の内を告白します。亡き母上によく似ている貴女をお慕いしている内に恋しいと思うようになってしまった。拒む藤壺、帝に申し訳ない・・・しかし二人は思いを遂げてしまう。朝明けぬ内に、誰にも見られないように退出する。さて、「源氏物語」の原文には藤壺とのこの夜のこと、一行も書いてありません。紫式部はこの後の源氏と藤壺の文の中に、忘れられない秘め事について表現しています。あくまでも読者の想像、作家の創作によって、この場が出来上がる訳です。五十四帖にもわたる長編小説はこの夜の密事から始まり、ずっと主人公を悩まし、周囲の男女との関わりも尾を引いていきます。光源氏のプレイボーイがクローズアップされがちですが、今回の源氏はこの二人の苦悩が終始貫かれていて良かったと思います。葵の上、六条御息所、夕顔が登場しますが紫の上はお話だけで出てきません。やがて藤壺は源氏によく似た赤ちゃんを産み、帝はたいそう喜び後見を源氏に頼みます。ここも帝は知っていたのか、我が子と信じていたのか分かりません。帝の深い愛を感じれば感じるほど、光の君と藤壺の苦悩は重く耐え難くなります。時間が経過して帝は亡くなります。そして一周忌の法要の時に藤壺は出家致します。クライマックス、何も聞いていなかった源氏はショックで「何故ひと言もご相談もなく・・・」と藤壺に訴えます。「相談すればお止めになったでしょう」と答えます。「あなたが冷たい態度でいらっしゃるので私を避けていらっしゃるのでは、心の穴を埋めるのに何人もの女性を求めたが、埋められませんでした。」光源氏が告白すれば、「あなたの愛を拒むことなんて誰もできません。」と藤壺も告白します。「出家して朝夕お経をあげ罪を清めたい、もうお会いすることもないでしょう」涙ながらに別れを告げます。二人は帝の大きな愛を感じ「父上、お許し下さい。」と泣きながら言います。ー幕ー
私は筋書きを買わない主義なので、記憶に頼って書いています。間違っていたらご指摘下さい。
今までで一番良かったのは演出に團十郎が加わっているからかもしれません。(前に誰が演出なさったかわかりませんので何とも言えませんが)序幕とラストが繋がっていて、感動的でした。思わずハンカチを出してしまいました。菊之助の左頬にも一筋の涙が・・・
助六も光源氏も海老蔵に限ります。博多まで遠征して本当に良かったです。

投稿者 佐千菊 : 2005年06月10日 10:10

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コメント

あー肝心なところが抜けておりまする。最後に光の君が 『藤壺さまー藤壺さまー・・・うっ藤・・壺・さ・まー』・・・もう涙が 涙が止まらずに これは 海老様がと言うよりも 源氏が私を泣かせたのだと思います。やっと これでプレイボーイ源氏を心から理解することができました。 やはり藤壺への深い愛があるから 逢えない 愛してはいけない その気持ちを他の女性に求めてしまう。 寂聴さんも海老様の源氏を 愛してると思います。誰かに 話したくてうずうずしていたのですが、こればかりは 観ていないと 感じることが できませんし、とにかく 未だに 眼に焼きついて離れません。 博多座でのお席確保なら いつも 花道側 前から4列目取れますから、ご一方を!

投稿者 喜多 : 2005年06月14日 14:22

喜多さま、肝心な最後「藤壺さまぁ~」で締めなくてはいけませんね。甦ってきますね。1週間前の今日が・・・私は帝の愛と團十郎の深い息子への愛が重なって、涙が・・・海老蔵はシアワセものですね。

投稿者 さちぎく : 2005年06月14日 15:48

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